割り算はかけ算

0除算不可能説を説く論説では,分割を用いて論旨を展開することが多いです。しかし一般の体で考えれば,除算は逆元の乗算です。実数体で考えれば, $$a\div 2=a\times \frac{1}{2}$$ $$a\div \frac{7}{13}=a\times \frac{13}{7}$$ といった具合です。そこで,実数体上で割り算のときのかける数を考えてみます。 とくに0で割るときのかける数となる数の候補を考えてみて下さい。 $$a\div 0=a\times ?\tag{1}$$ 0以外の数はみなかける数として使用されています。任意の $z\ne0$ について, $$ a\div \frac{1}{z}=a\times z $$ となるからです。

それゆえ (1) の ? に該当する数は0以外に存在しないことになります。このように考えると,数学の歴史のなかで, $$a\div 0=a\times 0$$ と考えたらどうなるかと考えた人がいたのではという気持ちになりますが,いかがでしょうか。いずれにせよ,$a\div 0=a\times 0$ は検討すべき案件ではないでしょうか。