hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

平行な辺を持つ三角形(余弦定理)

平行な2辺を持つ三角形に対して,次式で表される余弦定理を考えます。 $$ c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos C, \ \ \ \ a^{2}=b^{2}+c^{2}-2bc\cos A \tag{1} $$ これらが成り立てば,長さ $a$ と $b$ の辺が平行な場合は,$a=b=0$ から $c=0$ となるので,これらの式は一般に成り立ちません。しかし,この場合にも成り立つ式が存在しないわけではありません。例えば(1)を変形した次式は,$a=b=0$ の場合にも成り立ちます。 $$ \frac{c^{2}}{a}=a+\frac{b^{2}}{a}-2b\cos C, \ \ \ \ a=\frac{b^{2}}{a}+\frac{c^{2}}{a}-\frac{2bc}{a}\cos A\tag{2} $$ しかし,平行な2辺を持つ三角形に関しては,2辺の長さと1つの内角を与えた場合に,それらによって決まる三角形は一意ではありません。これは,線分の両端を通る平行線の組は無限個あることを考えれば明らかです。(2) はこの事実を反映したものになっています。例えば,前式においては $a=b=0$ と 角 $C$ を与えても,辺 $c$ は一意に決まりません。このことを考慮すると,(2)のような式にそれほど意義があるとは思えませんね。ということで,余弦定理についてはここまでとします。