下図は『算学小筌』という和算書にある問題の図です。
この図で, 4円 $\alpha$, $\beta$, $\delta$, $\varepsilon$ の半径を $a$, $b$, $d$, $e$ とするとき,次の関係式が成り立ちます[1]。
$$ \left(\frac{a}{e}-1\right)\left(\frac{b}{d}-1\right)=\frac{4ab}{(a+b)^{2}}. \tag{1} $$
ここで,黒の円 $\alpha$, $\beta$, $\gamma$ は固定で,赤と緑で表示した $\delta$ と $\varepsilon$ が変化するものとします。すると,(1) の右辺は定数となり, (1) は左辺の積が一定である関係を表します。
2つの数の積が一定という関係がある現象では,一方の数が 0 になれば,他方の数も 0 になるという,積が一定の法則があるということを以前に述べました。
下の図は,(1) の左辺の $a/e-1$ と $b/d-1$ がともに 0 で,積が一定の法則が発動している場合を示しています。
参考文献
[1] H. Okumura, The arbelos in Wasan geometry: a problem in Sangaku Shōsen, Sangaku Journal of Mathematics, 5 (2021) 39--42.