hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

回想2021年

本年の4月にこのブログを開設しました。Hatenablog を選んだのは,数式の表示に優れたMathJaxが使えるからでした。MathJax は通常の TeX と完全互換ではないので,完成するまでにはそれなりに時間がかかります。同じ Hatenablog の nanja さんのサイトにある…

「円の半径を0にすると一点になる」は誤り

直線を円と考えるとき,半径は0であることを以前に述べました。 hoinori.hatenablog.com 今回は,一点 $O$ とそれを通る直線を固定して考えます。$O$ でこの直線に接する円を考え,その半径を0に近づけます。半径が0のときにはどうなるでしょうか。今までの…

荒川央氏の半年前(6月)の予想が大当たり

分子生物学、免疫学の研究者として,バーゼル免疫学研究所 (バーゼル)、ハインリッヒ・ペッテ研究所 (ハンブルク)、ヘルムホルツ研究所 (ミュンヘン)、マックスプランク研究所 (ミュンヘン) を経て,現在は分子腫瘍学研究所 (ミラノ)でご活躍の 荒川央氏が20…

2つの相似な二等辺三角形

線分 $AB$ 上の点 $C$ に対し,線分 $AC$ と $BC$ を底辺とする相似な二等辺三角形 と $EBC$ を考えます。ただし,2点 $D$ と $E$ は $AB$ の同じ側にあるものとします。ここで,$|AC|=2b$, $|BC|=2a$ とします。 このとき, $F=AE \cap CD$, $G=BD \cap CE$…

不自然な現代数学

体$F$上の次の全単射を考えます。 $\phi(0)=0$ で, $a\ne0$ なら $\phi(a)=a^{-1}$ この $\phi$ を用いて,$F$ 上の2項演算 $\div$ を次のように定義します。 $$ a\div b=a\cdot \phi (b).$$ これで,$F$ に非可換な2項演算 $\div$ が定義できます。 $b\n…

0除算発見の歴史を記録した書籍が出版されました

齋藤先生の0除算発見の歴史を記録した書籍が出版されました。これも歴史的な書籍となるものと思われます。 裏表紙の図(上左の図)は horn turus model で,$1/0=0$ を導入した数学では,これをリーマン球面の代わりを使用することになります。 www.amazon.c…

正2角形

正2角形を定義する方法はいろいろありますが,これが正2角形だ!という決定的なものはないのかもしれません。今回はその中から和算の幾何学に現れた問題をヒントに正2角形を定義します。先ず,和算の問題を2つ挙げます。 上左図は正三角形と交わり, 中心を共…

Dodge氏の0除算不可能論

数年前に亡くなった Clayton Dodge 氏の0除算不可能論を取り上げます[1]。 彼は,次の3つを仮定します。 $$ a+0=a $$ $$ a \cdot 1=a $$ $$ \frac{a}{b}+\frac{c}{d}=\frac{ad+bc}{bd} $$ そして,$\frac{a}{0}$ が存在するとして,上式で $b=0$, $c=d=1$ の…

1/0=0 を表現している素晴らしいサイト「宇宙の果ては胎内」

初めてこのブログにお越しいただいた方へ。このブログでは「0で任意の数を割ると結果は0」を仮定すると,どのようなことが言えるようになるのかを検証しています。始めの記事を数編ご覧いただきますと,0除算 $1/0=0$がよりよく理解いただけます。 「宇宙の…

積が一定の法則(その5)

初めてこのブログにお越しいただいた方へ。このブログでは「0で任意の数を割ると結果は0」を仮定すると,どのようなことが言えるようになるのかを検証しています。始めの記事を数編ご覧いただきますと,0除算 $1/0=0$がよりよく理解いただけます。 今回は次…

1/0=0 を示唆する保江邦夫先生,瞬間移動する物体の加速度は0

最近は言論統制で悪名高くなってしまった YouTube ですが,こんな動画がアップされていました。 www.youtube.com これの末尾(56分辺りから)で,物理学者の保江邦夫先生がさらっと「瞬間移動だから加速度は受けない」みたいなことを仰ってます。 これ,$1/0=0…

積が一定の法則(その4)

下図は『算学小筌』という和算書にある問題の図です。 この図で, 4円 $\alpha$, $\beta$, $\delta$, $\varepsilon$ の半径を $a$, $b$, $d$, $e$ とするとき,次の関係式が成り立ちます[1]。 $$ \left(\frac{a}{e}-1\right)\left(\frac{b}{d}-1\right)=\frac…

和算の代表的な問題から

次の和算の代表的な問題を考えます(下図)。 問題. 2円 $\alpha$ と $\beta$ が外接するとき,その1つの共通外接線 $t$ と2円のなす弧状三角形の 内接円を $\gamma$ とする。$\alpha$, $\beta$, $\gamma$ の半径を $a$, $b$, $c$ とするとき,次の関係が成り…

直交する二直線の命題

前回まとめた直交する2直線の件ですが,平行な場合を除くと次のような命題が得られます[1]。 定理. 平行でない傾き $m_1$, $m_2$ の2直線が垂直であるための必要十分条件は次式で与えられる。 $$ m_1=-\frac{1}{m_2}. $$ これは,2直線が $x$ 軸と $y$ 軸で…

直交する二直線(まとめ)

前回で述べた直交する二直線を図で示してまとめとします。 2つの直線の傾きを $m_1$, $m_2$ とするとき, $m_1=-\dfrac{1}{m_2}$ を満たす2直線を直交すると呼ぶことにします。 先ずは従来の場合である傾きのある直交する2直線です。 従来の数学では直交する2…

直交する二直線

2つの直線を考えます。ぞれぞれの傾きを $m_1$, $m_2$ とします。これらが直交するための必要十分条件は $m_1m_2=-1$ であることは多くの人の知るところです。しかし、典型的な例として、2直線の一方が $x$ 軸で他方が $y$ 軸の場合を考えるとどうなりますか…

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明(掛け算戦法)への反論

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明の考察をしています。今回は最終回の「掛け算戦法」の考察です。 quizknock.com (引用開始)「0×?=1となるとき、?に入る数はいくつですか。」 そんな数はない。掛け算として考えると「0を何倍したら1になりますか。」…

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明(引き算戦法)への反論

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明を考察しています。今回は引き算戦法です。 quizknock.com (引用開始) 「1から何回0を引いたら、その数から0が引けなくなりますか。」 1-0は、誰にでもわかるだろうが、1である。 よって、これを引き算的に考えると「無…

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明(イメージ戦法)への反論

quizknock.com 以前にこのサイトにコメントしたのですが,それに対するお返事をいただけませんでした。そこで,このサイトの主張に対する考察をしてみます。小学校で0除算に触れる場合の対処法を考えるのが趣旨のようですが,我々のブログの趣旨は現代数学に…

積が一定の法則(その3)

2数の積が一定なら,一方が0になれば他方も0になるという法則(積が一定の法則)を前々回から考えています。今回もこの法則を具現化している例を挙げます。今回は秋田義蕃編集の『算法点竄手引草附録』という和算文献にある問題を考えます。この文献は東北…

積が一定の法則(その2)

$ab=一定$ の関係がある場合には $a$ と $b$ の一方が $0$ になると,他方も $0$になることを積が一定の法則と勝手に名付けました。この法則ゆえ,$ab=一定$ の関係は $a=\dfrac{1}{b}$ という形で表現すべきというのが,私の主張です。この分数を用いた形で…

積が一定の法則(その1)

積が一定の法則とは, $$ab=一定\tag{1}$$ という関係がある場合には,$a$, $b$ の一方が $0$ になる場合には,他方も $0$ になるという法則です。私が勝手に作った法則です。例としては,管の中を液体が移動するときの関係式 $$ S(流体の面積)×v(流速)=一…

算額題と0除算 2

今回も和算の幾何学の問題を取り上げます。先ずは下図で示す直線に接し,隣同士で接する $n$ 個の合同な円を考え,これを直線上の $n$ 個の合同な円と呼ぶことにします。図のような記号表示の場合には,$\alpha_1$, $\alpha_2$, $\cdots$, $\alpha_n$ を 「…

算額題と0除算

以前に直線の半径が0であることを述べました。 hoinori.hatenablog.com 今回はこれを用いる例を述べます。事の発端は角田利勝による次の図に関する算額題です[1]。 これは Sangaku Journal of Mathematics という和算の幾何学に焦点をあてた雑誌に2017年に掲…

本日の Wikipedia (2021年7月14日版)

Wikipedia の0除算に関する記述が少し変わったようです。0除算に関して動きがあったと認識できますね。以下に冒頭の部分をメモしておきます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E9%99%A4%E7%AE%97 ---引用開始----------------------------…

ブラーマグプタの 0/0=0 に関するお話 2

前回述べたように,ブラーマグプタは $0\div 0=0$ を述べました。しかし,$z\ne0$ のときに $z\div 0$ はどうなるのかについては言及しませんでした。今回はどのようにして彼がこの結論を得たのかを推論します。 彼は除算を乗算として考えました。例えば,次…

ブラーマグプタの 0/0=0 に関するお話 1

ブラーマグプタ(Brahmagupta) はインドの数学者,天文学者として有名です。彼は 628年に『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』(Brāhmasphuṭasiddhānta) というタイトルの数学と天文学の書物を著しました。彼はこの中で $0/0=0$ であると述べています。しかし,…

0除算算法の雑誌が創刊されました

International Journal of Division by Zero Calculus の創刊号が本日(2021年7月5日)発刊となりました。Open access journal なので,以下のリンクから自由にダウンロードして閲覧できます。創刊号は100ページ程のものですが,数学の歴史における1つの事…

上限がない場合における数の表現は0

実数で何かを表現することは多いです。例えば,起動中のPCに対して,何のオペレーションもない場合に,PCをスリープ状態にする設定を考えましょう。1時間後にスリープ状態になるように設定するには 1(時間単位)や 60(分単位)を設定値として使います。同…

0除算研究は日本から

$1/0=0$ にはいろんな人が到達していたようです。Patrick Suppes は1957 年に『Introduction to Logic』という書籍を著しています。彼はこの中で,ロジカルに詰めると $1/0=0$ が出てくることを臭わす記述をしながら,そこで止めています。Proof asistant の…