hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

3個の合同な円を含む新潟の算額題

三浦教忠編の『所懸于三浦氏道場学板算題二百条』にある次の問題を考えます(下左図)。これは新潟の算額の問題としても提出されました。

問題. 正方形$ACDE$の辺$DE$上の点を$B$とし、三角形BCDの内接円の半径をrとする。二つの半径rの円が互いに接し、一方は三角形ABEの2辺BEEAに接し、他方は2辺EAABに接すれば、三角形ABCの内接円の半径は2rであることを示せ。

問題の図において、BからACに下ろした垂線の足をHとし、三角形BCDの内接円の代わりに三角形BCHの内接円を、三角形BAE内の2円の代わりに三角形BAH内の2円を考えます(上右図)。

さらに、$xy$-平面において、2、3、4象限から二つの軸に接する半径$r$の円を、それぞれ、$\alpha$, $\beta$, $\gamma$とします(下図)。$y$軸上の任意の点$B$から$\alpha$と$\gamma$に引いた接線で$y$軸と異なるものをそれぞれ$a$と$c$とします。ただし、$B$が$\alpha$と$y$軸との接点のときは$a$は$y$軸と一致するものとします。$c$についても同様です。問題は次の定理のように一般化されます([1])。

定理.\alphaの接線$a$に\alphaと同じ側から接し、円\gammaの接線$c$に\gammaと同じ側から接し、$\beta$と\gammaの残りの共通外接線にも接する円を\deltaとする。\deltaの半径は$2r$である。

Bの座標を(0,t)とするとき、円\deltaの中心の座標は(\frac{-2r^{2}}{t},0)となります。点Bが原点のときの図を考えましょう(下図)。

t=0なら、\frac{-2r^{2}}{t}=0となり、円\deltaの中心は原点と一致します。さらに、円\alphaの接線$a$と、円\gammaの接線$c$は$x$軸と重なります。すなわち、\deltaと$a$, $c$は直交します。\tan 90^{\circ}=0なので、直交する図形は接すると解釈できることを以前に述べました。

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よって、この場合にも\deltaは$a$と$c$に接することになり、定理は成立します。 $B$が$y$軸上を動くときの様子をアニメーション表示するファイルを作成しました。参考文献[2]のリンクからダウンロードできます。

参考文献

[1] Y. Kanai, H. Okumura, A three tangent congruent circle problem, Sangaku Journal of Mathemarics, 1 (2017) 16--20.
https://www.researchgate.net/publication/314216449_A_three_tangent_congruent_circle_problem

[2] https://www.researchgate.net/publication/314216453_ttccp_animation