hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

円鎖再論

以前に述べた以下の記事のバリエーションを考えます。 hoinori.hatenablog.com $C$を線分$AB$上の点とし、$|AC|=2b$, $|AB|=2a$. $c=a+b$とします。直径が$AC$, $BC$ である2つの半円を$AB$の同じ側に作り、それぞれを $\alpha$, $\beta$ とします。これらに接し、直線$AB$に接する円を$\gamma_1$とします。下図では$\gamma_1$と$AB$が接する部分が描画範囲の外にあり、描かれていません。 次に、$\alpha$, $\beta$, $\gamma_1$に接する円を$\gamma_2$とし、以下同様にして図のような円$\gamma_3$, $\gamma_4$, $\cdots$を 定義します。すると、$\gamma_i$, $\gamma_{i+1}$にこれらの接点で接し、$AB$に$C$で接する円が存在します。これを$\delta_i$とします。この円の存在は$C$を中心とする円に関する反転写像を考えるとわかります。ここで、$\delta_i$の半径を$d_i$としますと、次の定理が成り立ちます[1]。

定理. 負でない整数$n$に関して、次の関係が成り立つ。 $$ d_n=\frac{ab}{cn}.\tag{1} $$

ここで$n=0$の場合を考えます。この場合に直線の円としての半径は0なので$d_0=0$です。これについては、以下の記事で述べました。 hoinori.hatenablog.com 一方、[1]の右辺は$1/0=0$より、以下となります。すなわち、$n=0$のときにも (1) が成り立ちます。 $$ \frac{ab}{c \cdot 0}=\frac{ab}{0}=0 $$

ここからは、$\gamma_0$はどのような図形なのかを考えます。先ずは、直交する図形は接する図形と考えることができることを思い起こしてください。これについては次の記事で述べました。

hoinori.hatenablog.com

ですから、$AB$は、$\alpha$, $\beta$に接すると考えることができます。一方、$AB$は$\gamma_1$にも接します。それゆえ、$\gamma_0$は$AB$であると考えることができます(下図)。

参考文献

[1] H. Okumura, A note on circles touching two circles in a Pappus chain: Part 2, Sangaku J. Math., (2022) 23-25.