hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

平行な辺を持つ三角形(傍接円)

今回は平行な辺をもつ三角形の傍接円について考えます。座標の設定は前回までと同じです。 f:id:hoinori:20210430012856j:plain 辺 $CA$ に $B$ の反対側から接する傍接円の半径を考えます。この円の中心は次式で表される2直線の交点です。 $$ y=\tan\frac{\theta_a}{2} (x-p), \ \ y=\tan\frac{\theta_b}{2} (x-q) $$ 交点の座標は,この方程式を解いて,次のように求まります。 $$ \left( \frac{p\tan\dfrac{\theta_a}{2}-q\tan\dfrac{\theta_b}{2}} {\tan\dfrac{\theta_a}{2}-\tan\dfrac{\theta_b}{2}}, (p-q)\dfrac{\sin\dfrac{\theta_a}{2}\sin\dfrac{\theta_b}{2}}{\sin\dfrac{\theta_a-\theta_b}{2}} \right) $$ このとき,交点の $y$ 座標は傍接円の半径と一致します。$\theta_a=\theta_b$ のときは,交点の $y$ 座標の分母が 0 になります。すなわち,$1/0=0$ より,交点の $y$ 座標は $0$ になります。よって,平行な2辺を持つ三角形の平行な辺にこの辺に対応する頂点の反対側から接する傍接円の半径は 0 です。今回の内容は [1] から引用しました。

参考文献

[1] H. Okumura, A generalization of Problem 2019-4 and division by zero, Sangaku J. Math., 4 (2020) 45–52.