hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

上限がない場合における数の表現は0

実数で何かを表現することは多いです。例えば,起動中のPCに対して,何のオペレーションもない場合に,PCをスリープ状態にする設定を考えましょう。1時間後にスリープ状態になるように設定するには 1(時間単位)や 60(分単位)を設定値として使います。同様に3時間後にスリープ状態になるよう設定するには,3 や 180 を使います。それでは,いつまでたってもスリープ状態にならない(上限がない)設定するには何を使うかといいますと,0です。

同様なものに,体の標数の概念があります。体とは四則演算ができる代数系の集合で積の交換法則が成立するものです。例えば,実数の集合や,有理数の集合は体で,実数体とか有理数体と呼ばれます。剰余体と呼ばれるものの一種に正整数を素数で割ったときの余りの数の集合があります。例えば5で割ったときの余りの数の集合 { 0, 1, 2, 3, 4 } も体です。この集合における演算は $2\times 3=1$ や, $3+4=2$ のように,通常の演算結果を5で割ったときの余りとします。ですから,$1+1+1+1+1=0$ となります。このように1を何個か加えて0になる場合にはそのような数の最小数をその体の標数と呼びます。すなわち,{ 0, 1, 2, 3 ,4} の標数は5です。一方,実数体の場合には1を何個加えても0になりません(上限がない)。この場合の標数は0と定義します。これは現代数学における希な0除算思想に通ずる定義ですね。

以前に円を正$n$角形と考えると正0角形になるということを述べました。これも,上限のない場合の数で表現ですね。 正0角形(まとめ) - 1/0=0

以上の3例のように上限がない場合に0で表現することと,0除算は密接に関連していますが,現段階では旨い説明ができていません。例えば,$1/x$ の $x=0$ における値を考えるとき,上記の上限がない場合の考え方を適用して $1/0=0$ を導くことができそうですが,定式化できていません。0除算を巡っては研究が始まったばかりなので,今回の例のように未解決の問題が山積みです。問題はこの例のように初等的なものが大半ですので,だれでも参入して論文を書くことができそうです。

今回述べたような0の使い方をしている例をここで述べた以外にご存じの方は教えていただくか,ご自身で発表していただけますと幸いです。教えていただける場合の連作先はプロフィール にあります。