hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

ブラーマグプタの 0/0=0 に関するお話 1

ブラーマグプタ(Brahmagupta) はインドの数学者,天文学者として有名です。彼は 628年に『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』(Brāhmasphuṭasiddhānta) というタイトルの数学と天文学の書物を著しました。彼はこの中で $0/0=0$ であると述べています。しかし,$z\ne0$ のときに $z/0$ はどうなるのかについては言及しませんでした。 このことを Merzbachand & Boyer 著の『A History of Mathematics』では以下のように述べています。

Yet here again Brahmagupta spoiled matters somewhat by asserting that 0÷0=0, and on the touchy matter of a÷0, for a÷0, he did not commit himself:

回りくどくブラーマグプタに対するリスペクトが感じられない表現です。$1/0=0$ を主張している立場としては,628年にブラーマグプタが述べた正しい命題 $0/0=0$ を20世紀にもなって上記のような上から目線の表現で否定するというのはなんだかなぁであります。現代においても0除算不可能説を説く人が後を絶たないのも無理はありません。いずれにせよ,$1/0=0$ を得た立場としては,ブラーマグプタの $0/0=0$ という指摘は記念碑的な事件です。インドで0が発見されたことは良く知られていますが,ブラーマグプタのこの発見もそれに劣らず素晴らしいです。