hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

ブラーマグプタの 0/0=0 に関するお話 2

前回述べたように,ブラーマグプタは $0\div 0=0$ を述べました。しかし,$z\ne0$ のときに $z\div 0$ はどうなるのかについては言及しませんでした。今回はどのようにして彼がこの結論を得たのかを推論します。

彼は除算を乗算として考えました。例えば,次のような具合です。 $$z\div 2=z\cdot 0.5$$ $$z\div 3=z\cdot \frac{1}{3}$$ すなわち,ある数 $z$ を別のある数 $a$ で割る場合には,必ずその $a$ に対して1つの数があって(逆数ですね),その数を $z$ にかけてやれば $z\div a$ となるというわけであります。ですから,$z\div 0=z\cdot x$ となる数 $x$ が存在するはずです。しかし,彼は,この数 $x$ を特定できませんでした。なぜなら,特定できていれば,任意の数 $z$ について,$z\div 0=z\cdot x$ で任意の数 $z$ を0で割ったときの結果が明らかになったのに,彼はこれについては言及しなかったからです。しかし,0 を 0 で割る場合は $0\div 0=0\cdot x=0$ と $x$ がどんな数でもそれに 0 にかけるので,結果はいつも 0 になります。そんな訳で,彼は $0\div 0=0$ を述べたとさ。

以上が $0/0=0$ というブラーマグプタの考察に対する私の推察です。実際に彼がこのように考えたのかは,現時点ではわかりません。次の世界に私が遷移したときに彼に聞いてみたいものです。

補足 $a$ の逆数とは $a\cdot b=1$ となる数 $b$ のことではないか。しかし $0\cdot x=0$ であり,$0\cdot x=1$ とはならないではないかという反論がありそうなので,補足です。逆数を $a\cdot b=1$ を満たす2数とする定義は欠陥があるので,破棄して下さい。逆数の定義を $a=\dfrac{1}{b}$ を満たす2数と改善しましょう。すると,このブログのタイトルにあるように $0=1/0$ なので,0の逆数は $0$ となります。従来の $0$ 以外の数の逆数はこの定義でも保たれます。興味のある方は以下の記事も参考にして下さい。 hoinori.hatenablog.com

hoinori.hatenablog.com

hoinori.hatenablog.com