hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

quizknock.com 様の 0除算不可能の説明(イメージ戦法)への反論

quizknock.com

以前にこのサイトにコメントしたのですが,それに対するお返事をいただけませんでした。そこで,このサイトの主張に対する考察をしてみます。小学校で0除算に触れる場合の対処法を考えるのが趣旨のようですが,我々のブログの趣旨は現代数学に1/0=0を導入することですので,数学を念頭において考えます。このサイトには「1÷0=?」という計算をこれらの方法で考えてみようという前半部と「0÷0=?」について考えようという後半部があり,それぞれ3つの説明があります。ここでは前半部を3回に分けて考えます。

1回目は「イメージ戦法」と題する説明を考察します。 (引用開始)「10÷5=?」は、「10個のりんごがあります。これを5人で分けたら、1人あたり何個のりんごがもらえますか。」という文章題に置き換えることが出来る。このように、ただの計算としてではなく、イメージ出来るものに置き換えて考える方法がある。

「1個のりんごがあります。これを0人で分けたら、1人あたり何個のりんごがもらえますか。」 ……??? まず人が存在しない!!!

文章題としては、非常にわけのわからないことを聞いている。 よって、これは文章題とすると「問題文が成り立たない」こととなる。(引用終わり)

問題文が成り立たないと考えるなら,仮定が成り立たないことになり,命題としては常に真となります。ということは1/0=0の計算結果としてはどんな数を返しても良いことになりますね。我々が主張する1/0=0もOKとになります。

しかし,これはちょっと揚げ足取りみたいな感じがします。0人に分けるということに対する定義を与えずに考えていることのほうに問題があるようです。0人に分けることの定義については,Hövel Wolfhard 氏の次の考察があります[1]。

かごに中に6個のリンゴがあります。これを10人の子供に分配することを考えます。この場合,6人に1個ずつ与え,残りの4人には1個も与えないというやり方は,不自然で,全員に1個も与えないというのが自然です。つまり,かごの中に変化はなく,次式のように考えます。

6(りんごの数)=10(子供の数)×+6(余り)

ここで,かごの中身に変化があった場合は赤の数が正の整数になります。例えば,このリンゴを4人の子供に配る場合には次のようになります。

6(りんごの数)=4(子供の数)×1+2(余り)

さて,今度はこのリンゴを0人に分配することを考えます。かごの中は変化しないので,次式を得ます。

6(りんごの数)=0(子供の数)×+6(余り)

よって,0人に分配する場合は0個ずつ分けることになるというものです。この Hövel 氏の考察は1/0=0を導きます。

参考文献

[1] Hövel Wolfhard, Integer Numbers, 2020, https://www.researchgate.net/publication/344801619_Integer_Numbers.