hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

積が一定の法則(その3)

2数の積が一定なら,一方が0になれば他方も0になるという法則(積が一定の法則)を前々回から考えています。今回もこの法則を具現化している例を挙げます。今回は秋田義蕃編集の『算法点竄手引草附録』という和算文献にある問題を考えます。この文献は東北大学のデジタルコレクションにあります。問題は 下の図で黒の半円 $\alpha$ の半径を $a$, 赤い線分の長さを $p$, 空色の線分の長さを $q$ とすれば,$pq=a^{2}$ となることを述べています。この関係式は実際に成り立つのですが,これが積が一定の法則を満たすことを示します。黒の半円 $\alpha$ を固定して考えます。

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外側の黄色の半円の半径が増加して黒半円 $\alpha$ の直径の左側の垂線と重なる場合を考えます。緑の円が $\alpha$ の直径の両端における左側の垂線にも接するように大きくなって行く様を考えるとわかりやすいかもです(下図)。

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緑円が左側の垂線に接すると,空色の線分は一点につぶれます(下図)。つまり,$q=0$ です。一方,赤い線分ですが,黄色の円が垂線になることから,線分ではなく,半直線になります。半直線の長さは以前に述べたように $0$ でした。すなわち,$p=0$ となります。

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半直線の長さが0になることは以下で述べました。

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