hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

約分通分で注意を要する例

分母が0の分数では約分通分ができないことを以前に述べました。これを実際に示す例として次の恒等式を考えます。 $$ 1+\tan^{2}\theta=\frac{1}{\cos^{2}\theta}\tag{1} $$ (1) は例えば $\theta=\dfrac{\pi}{2}$ の時は成立しませんね。左辺は1,右辺は0となるからです。一方,(1) は次の (2) 式で左辺の第1項を約分して得ます。 $$ \frac{\cos^{2}\theta}{\cos^{2}\theta}+\frac{\sin^{2}\theta}{\cos^{2}\theta}=\frac{1}{\cos^{2}\theta}\tag{2} $$ (2) は $\theta=\dfrac{\pi}{2}$ の時は,左辺は $\dfrac{0}{0}+\dfrac{1}{0}=0+0=0$, 右辺は $\dfrac{1}{0}=0$ なので成立します。 しかし, $\cos\theta=0$ なので,左辺の第1項を約分して(1)を得ることはできません。