hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

0除算算法 (Division by Zero Calculus)

0 除算では,分母が0の分数の値は0と決めるのが妥当であることを,何回か述べてきました。しかし,分母が0の分数の関数値を考えるときには,0除算算法が必要になります。これも齋藤三郎氏の考案になります。次のよく知られた次の関数を例に考えます。 $$ f(x)=\dfrac{\sin x}{x} $$ この関数で,$f(0)$の値をどうするのかという問題です。0除算定義からは $f(0)=0$ となります。しかし, 0除算算法ではこの関数の $x=0$ におけるLaurent展開(冪級数展開)を考えます。 $$ f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}C_nx^{n} $$ そして,$f(0)=C_0$ と定義するというものです。この例では実際の展開が以下なので,

$$ \dfrac{\sin x}{x}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-i)^{n}+i^{n}}{2(1+n)!}x=1-\frac{1}{6}x^{2}+\frac{1}{120}x^{4}-\frac{1}{5040}x^{6}+\cdots $$ 0除算算法では $f(0)=C_0=1$ ということになります。以上より,$f(0)=0$ と $f(0)=1$ のどちらを取るべきかという問題が残りますが,場合毎に検証する必要があります。研究が進めば,この辺りに関する理論が確立されて,いちいち検証する必要がなくなるのかもしれません。この例ではもちろん後者です。

今回述べた0除算算法ですが,従来我々が考察を避けてきた特異点のまさにその上で考察するといったことが可能になるので,未考察の場面を考察の対象にすることが多いです。そして,未考察の場面の考察では,従来誰も気が付かなかった事柄が,続々と出てくるわけであります。