hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

割り算はかけ算

0除算不可能説を説く論説では,分割を用いて論旨を展開することが多いです。しかし一般の体で考えれば,除算は逆元の乗算です。実数体で考えれば, $$a\div 2=a\times \frac{1}{2}$$ $$a\div \frac{7}{13}=a\times \frac{13}{7}$$ といった具合です。そこで,実数体上で割り算のときのかける数を考えてみます。 とくに0で割るときのかける数となる数の候補を考えてみて下さい。 $$a\div 0=a\times ?\tag{1}$$ 0以外の数はみなかける数として使用されています。任意の $z\ne0$ について, $$ a\div \frac{1}{z}=a\times z $$ となるからです。

それゆえ (1) の ? に該当する数は0以外に存在しないことになります。このように考えると,数学の歴史のなかで, $$a\div 0=a\times 0$$ と考えたらどうなるかと考えた人がいたのではという気持ちになりますが,いかがでしょうか。いずれにせよ,$a\div 0=a\times 0$ は検討すべき案件ではないでしょうか。

正接の加法定理

0除算導入により、$\tan90^{\circ}=0$ を得ました。その場合に、正接の加法定理の式 $$ \tan(\theta_1+\theta_2)=\frac{\tan\theta_1+\tan\theta_2}{1-\tan\theta_1\tan\theta_2}\tag{1} $$ について考えます。例えば,$\theta_1=90^{\circ}$, $\theta_2=60^{\circ}$ のときは, 0除算定義 $1/0=0$ では左辺は $$ \tan(\theta_1+\theta_2)=\tan150^{\circ}=-\frac{1}{\sqrt{3}}, $$ 右辺は $$ \frac{\tan\theta_1+\tan\theta_2}{1-\tan\theta_1\tan\theta_2}=\frac{0+\sqrt{3}}{1-0\cdot \sqrt{3}}=\sqrt{3} $$ となり,左辺 $\ne$ 右辺となってしまいます。

それゆえ,(1) をアップデートする必要がありますが,(1) の両辺の逆数を考え,右辺の分子分母を$\tan\theta_1\tan\theta_2$で割った次の式が0除算導入後も有効な正接の加法定理の式になります。 $$ \frac{1}{\tan(\theta_1+\theta_2)}=\dfrac{\dfrac{1}{\tan\theta_1\tan\theta_2}-1}{\dfrac{1}{\tan\theta_1}+\dfrac{1}{\tan\theta_2}} $$

逆数の定義の更新でも述べましたが,この例のように分数にして考えるのは, 0除算導入後の世界では大変有効です。

Wikipediaにおける0除算解説

Wikipedia には結構お世話になっています。しかし,ポリティクスな観点からみると,かなり偏っているという印象を持つ記事もありますね。それはさておき,ここにも0除算解説があります。その中身はざっくりと言えば,現在の数学の作法の一部に沿わないから0除算は不可能といういつもの0除算不可能説です。0除算は現在の数学の外側のものなので,現在の数学ルールに従わないものがあるのは当然ですので,この論旨はいただけません。 既存のルールに従えばこうなるはず という議論はいい加減止めにしてもらいたいですね。これを読んで真に受けてしまう人は多いのではと思うと残念であります。以前にも述べましたが,以下のような誤った推論になっています。

既存のある数学ルールと0除算の2つを仮定 → 矛盾を導く → 結論として2つの仮定のうちの0除算のみを否定

正しい結論は,その数学ルールと0除算は両立しない です。

ただし,ここにある無限大に対する指摘は評価できます。

正0角形(まとめ)

正0角形を5回にわたり考察した結果をまとめます。 正$n$角形の内角を表す式において,$n=0$ とすると,$\pi$ が求まりました。これを正0角形の内角は $\pi$ であると 述べることにします。その他についても同様です。以下を得ました。

正0角形の内角は $\pi$ である。

正0角形の周長と外接円の半径の比は $2\pi$ である 。

正0角形の面積はその外接円の面積に等しい 。

正0角形の周長はその外接円の周長に等しい 。

正0角形の内接円の半径は外接円の半径に等しい。

以上の結果は0除算や0除算算法で求めましたが,すべて0除算算法で求めることができます。これらから,円は正0角形と考えるのが妥当であるという結論を得ます[1]。

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正0角形

参考文献

[1] H. Okumura, S. Saitoh, T. Matsuura, Relations of 0 and $\infty$, Journal of Technology and Social Science 1(1) (2017) 70-77.

正0角形の考察(内接円)

今回は正0角形の内接円の半径を考えます。 f:id:hoinori:20210415165647j:plain 正$n$角形の外接円の半径を$a$とするとき,その内接円の半径は次式で表されます。 $$ a\cos\frac{\pi}{n} $$ よって0 除算定義では正0角形の内接円の半径は $$ a\cos\frac{n}{0}=a\cos 0=a $$ となります。次に,同じ場合を0除算算法で考察するために,上式を $n$ の関数と考え $n=0$ でLaurent展開します。 $$ a\cos\frac{\pi}{n}=\sum_{i=-\infty}^{\infty}C_in^{i} $$ 実際はこんな感じです。 $$ a\cos\frac{\pi}{n}=\cdots-\frac{a\pi^{6}}{720}\frac{1}{n^{6}}+\frac{a\pi^{4}}{24}\frac{1}{n^{4}}-\frac{a\pi^{2}}{2}\frac{1}{n^{2}}+a $$ すなわち,$a\cos\frac{\pi}{0}=C_0=a$ となります。よって0除算算法からも内接円の半径は $a$ になります。この例のように簡単な関数の場合には0除算による結果と0除算算法による結果は一致します。

今回の結果は正0角形の内接円の半径はその外接円の半径に等しいと述べることができます。

正0角形の考察(周長)

今回は周長です。周長と外接円の半径の比を前々回に考えましたが,今回は周長のみを単独で考えます。 f:id:hoinori:20210415065045j:plain 正$n$角形の外接円の半径を $a$ とするとき,その周長は次式で表されることを前々回に述べました。 $$ 2an\sin\frac{\pi}{n} $$ ですから,正0角形の周長は0除算定義からは0となります。次にこれを $n=0$ を中心にLaurent展開します。 $$ 2an\sin\frac{\pi}{n}=\sum_{i=-\infty}^{\infty}C_in^{i} $$ 実際はこんな感じです。 $$ 2an\sin\frac{\pi}{n}=\cdots-\frac{\pi ^{7}a}{2520}\frac{1}{n^{6}}+\frac{\pi ^{5}a}{60}\frac{1}{n^{4}}-\frac{\pi^{3}a}{3}\frac{1}{n^{2}}+2\pi a $$ すなわち,$2\cdot 0\cdot a\sin\frac{\pi}{0}=C_0=2\pi a$となります。よって0除算算法では,正0角形の周長はその外接円の周長と一致します。

Laurent 展開の計算には Mathematica を用いていますが,これがたまにおかしな結果を出すので,ちょっと困ります。

今回の結果は正0角形の周長はその外接円の周長に等しいと表現できます。

正0角形の考察(面積)

今回は正0角形の面積を求めます。 f:id:hoinori:20210415065045j:plain 先ず,外接円の半径が $a$ である正$n$角形の面積を考えます。次式になります。 $$ n\cdot 2\cdot\frac{1}{2}a\sin\frac{\pi}{n}\cdot a\cos\frac{\pi}{n}=\frac{a^{2}n}{2}\sin\frac{2\pi}{n} $$ よって,0除算では面積は0となってしまいます。一方,前回と同様に右辺を $n$ の関数と見なして $n=0$ を中心に次のようにLaurent展開します。 $$ \frac{a^{2}n}{2}\sin\frac{2\pi}{n}=\sum_{i=-\infty}^{\infty}C_in^{i} $$ 実際はこんな感じです。 $$ \frac{a^{2}n}{2}\sin\frac{2\pi}{n}=\cdots-\frac{4\pi^{7}a^{2}}{315}\frac{1}{n^{6}}+\frac{2\pi^{5}a^{2}}{15}\frac{1}{n^{4}}-\frac{2\pi^{3}a^{2}}{3}\frac{1}{n^{2}}+\pi a^{2} $$ すなわち,$\frac{a^{2}\cdot 0}{2}\sin\frac{2\pi}{0}=C_0=\pi a^{2}$ となります。すなわち,0除算算法では,正0角形の面積は $\pi a^{2}$ で,外接円の面積と一致します。

以上より,正0角形の面積とその外接円の面積は等しいという結果を得ました。