hoinori

0で割ることは0を掛けることであることを述べています。

正0角形の考察(周と外接円の半径の比)

今回は正$n$角形の周長と外接円の半径の比を考察します。 f:id:hoinori:20210415065045j:plain 正$n$角形の外接円の半径を $a$ とすると,周長は次式になります。 $$ 2na\sin\frac{\pi}{n} $$ これより,次式を得ます。 $$ \frac{周長}{外接円の半径}=2n\sin\frac{\pi}{n} $$ $n=0$ のとき,この値は0除算定義では0です。次に0除算算法で考察するために右辺を $n$ の関数と考え,$n=0$ におけるLaurent展開を考えます。 $$ 2n\sin\frac{\pi}{n}=\sum_{i=-\infty}^{\infty}C_in^{i} $$ 実際はこんな感じになります。 $$ 2n\sin\frac{\pi}{n}=\cdots-\frac{\pi ^{7}}{2520}\frac{1}{n^{6}}+\frac{\pi ^{5}}{60}\frac{1}{n^{4}}-\frac{\pi^{3}}{3}\frac{1}{n^{2}}+2\pi $$ すなわち,$2\cdot 0\sin\frac{\pi}{0}=C_0=2\pi$ となります。よって0除算算法では比の値は $n=0$ のときは $2\pi$ です。これは円の周長と半径の比に一致します。

0除算や0除算算法で異なるものが得られる場合には,どちらが妥当な結果であるのかを検証する必要があります。将来的に0除算算法の研究が進めば,検証なしで,妥当な結果を判断する方法が確立されるかもしれません。今の時点では,0除算と0除算算法の結果が異なる場合には,後者を採用すべきです。すなわち,0除算算法の結果を妥当なものと考えることにします。

以上より,正0角形の周長とその外接円の半径の比は外接円の周長と半径の比に等しいという結果を得ました。

正0角形の考察(内角)

正0角形を0除算(1/0=0)と0除算算法によりに数回にわけて考察してゆきます。今回は内角です。 f:id:hoinori:20210415012144j:plain 正$n$角形の内角を $\theta$ とします。正$n$角形を中心と頂点を結ぶ線分で$n$個の二等辺三角形に分割することより $n\theta+2\pi=n\pi$ を得ます。よって,正$n$角形の内角は以下になります。 $$ \pi\left(1-\frac{2}{n}\right) $$ これより,0除算定義を用いると,正0角形の内角は $$ \pi\left(1-\frac{2}{0}\right)=\pi\left(1-0\right)=\pi $$となります。これは,正0角形は円であることを暗示しているように見えますね。

三角形に関する恒等式

三角形に関する次の恒等式を考察します。 $$ \frac{a^{2}+b^{2}-c^{2}}{a^{2}-b^{2}+c^{2}} = \frac{\tan B}{\tan C} $$ f:id:hoinori:20210414043129j:plain 恒等式とはいえ,角 $B$ や $C$ が直角の場合は従来の数学では除きます。直角三角形でないときの証明は余弦定理と正弦定理によりできますので,略します。

0除算($0/1=0$)の導入により,$B$ が直角なら,左辺の分母$=$右辺の分子$=0$ で成り立ちます。同様に $C$ が直角なら,左辺の分子$=$右辺の分母$=0$ で成り立ちます。これで,はれてこの式を恒等式と呼べることになります。

仁平氏の例でも述べましたが,この例も現代数学のおかしさを示していますね。0除算によるこのような結果を日常的に見ていると,0除算が感覚的に当たり前になり,現代数学が大事なものを見落としている事を痛感するようになります。

面白い0除算適用例がありましたら,公表していただけると嬉しいです。ここでの掲載が可能なら取り上げさせていただきます。連絡先はプロフィールをご覧下さい。

0除算算法 (Division by Zero Calculus)

0 除算では,分母が0の分数の値は0と決めるのが妥当であることを,何回か述べてきました。しかし,分母が0の分数の関数値を考えるときには,0除算算法が必要になります。これも齋藤三郎氏の考案になります。次のよく知られた次の関数を例に考えます。 $$ f(x)=\dfrac{\sin x}{x} $$ この関数で,$f(0)$の値をどうするのかという問題です。0除算定義からは $f(0)=0$ となります。しかし, 0除算算法ではこの関数の $x=0$ におけるLaurent展開(冪級数展開)を考えます。 $$ f(x)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}C_nx^{n} $$ そして,$f(0)=C_0$ と定義するというものです。この例では実際の展開が以下なので,

$$ \dfrac{\sin x}{x}=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-i)^{n}+i^{n}}{2(1+n)!}x=1-\frac{1}{6}x^{2}+\frac{1}{120}x^{4}-\frac{1}{5040}x^{6}+\cdots $$ 0除算算法では $f(0)=C_0=1$ ということになります。以上より,$f(0)=0$ と $f(0)=1$ のどちらを取るべきかという問題が残りますが,場合毎に検証する必要があります。研究が進めば,この辺りに関する理論が確立されて,いちいち検証する必要がなくなるのかもしれません。この例ではもちろん後者です。

今回述べた0除算算法ですが,従来我々が考察を避けてきた特異点のまさにその上で考察するといったことが可能になるので,未考察の場面を考察の対象にすることが多いです。そして,未考察の場面の考察では,従来誰も気が付かなかった事柄が,続々と出てくるわけであります。

クテシビオス

今回の例と図は0除算理論の創始者である齋藤氏によるのものです。 f:id:hoinori:20210413064637j:plain 内容は,古代ギリシャの発明家で数学者でもあったアレクサンドリアのクテシビオスの考察です。管の中を流れる液体を考えます。ある断面についてその断面積を $S$, 液体の速度を $v$ とすると,$Sv$ は一定となります。すなわち,$C$ を定数として次式を得ます。 $$ v=\frac{C}{S} $$ ここで,断面積 $S$ が減少すると,$v$ は増加します。そこで,$S=0$ ,すなわち断面積が0のときを考えます。すると,$v=\dfrac{C}{0}=0$ となります。

この例は $\frac{C}{0}=\infty$ という意味不明な表現を改めるのに有効ですね。

接することと直交すること

直交座標形で中心が $(0,a)$で半径 $a$ の円 $\alpha$ を考えます。$\alpha$ と $x$ 軸に半径 $r$ の円が第一象限で接しているとします(左図)。$r=0$ のとき,この円はどうなるのでしょうか。 f:id:hoinori:20210412095954j:plain この円は次式で表されます。 $$ (x-2\sqrt{ar})^{2}+(y-r)^{2}=r^{2} $$ これを変形して,次式を得ます。 $$ x^{2}+y^{2}-4\sqrt{ar}x+2(2a-y)r=0\tag{1} $$ よって,$r=0$ なら, $x^{2}+y^{2}=0$ を得ます。これは原点ですね。これは,$\alpha$ と $x$ 軸に接すると考えることができます。さらに(1)を変形して次を得ます。 $$ \frac{x^{2}+y^{2}}{\sqrt{r}}-4\sqrt{a}x+2(2a-y)\sqrt{r}=0\tag{2} $$ ここで,$r=0$ とすると,$4\sqrt{a}x=0$,すなわち,$x=0$ を得ます。これは $y$ 軸 ですね。これは $\alpha$ と $x$ 軸に直交します。さらに(2)より次式を得ます。 $$ \frac{x^{2}+y^{2}}{r}-4\sqrt{\frac{a}{r}}x+2(2a-y)=0 $$ ここで$r=0$とすれば,$2(2a-y)=0$ すなわち,$y=2a$ を得ます。これは $x$ 軸 から最も遠い $\alpha$ 上の点で $\alpha$ に接する接線です。これは $\alpha$ と $x$ 軸に接すると考えることができます。以上得たものを右図において赤で示します。

前回に述べたように直線の半径は0なので,得たものの半径はみな0です。しかし, 問題となるのが2番目に得た $y$ 軸です。これは $\alpha$ と $x$ 軸に接するのではなく,直交するからです。しかし,ここで思い出していただきたいのは,仁平氏の例で述べた $\tan(\pi/2)=0$ です。この式は直交するもの同士の傾きは0を示しています。すなわち,$y$ 軸も $\alpha$ と $x$ 軸に接すると考えることができます。

[1]では上記の理論展開を和算幾何学に適用しています。

参考文献

[1] H. Okumura, Wasan geometry with the division by 0, Int. J. Geom., 7(1) (2018) 17-20.

直線の半径は0

直線の半径は無限大という表現がありますが,無限大を数のように扱うことは誤りであることを以前に述べました。 hoinori.hatenablog.com 直線の半径は0になることが以下のようにわかります。まず,円や直線は直交座標形において,次式で表せます。 $$ e(x^{2}+y^{2})+2fx+2gy+h=0 $$ この式は,$e=0$ のとき直線を表し,円のときの半径 $r$ は次式になります。 $$ r=\sqrt{\frac{f^{2}+g^{2}-eh}{e^{2}}} $$ これより,$e=0$ なら $r=0$ となります。